節電の贈り物
ベランダでキュウリを育てている。
節電のために思い立った。
グリーンカーテンにするなら、育てやすく見た目も涼しげな
ゴーヤが適していると、よく聞く。
しかし、家族があまり喜ばないので、キュウリにした。
ベランダは東向きなので、野菜作りにはあまり適していないようだ。
ひょろひょろと伸びた茎は、南へ南へ向かっていく。
黄色い花がたくさん咲き、3センチくらいの赤ちゃんキュウリが
あちこちに実を結ぶ。
ところが日照不足のせいか、そのまま萎んでしまい
なかなか食べられる大きさにならない。
キュウリもこのままではマズイと思ったのか
南向きに体をねじって大きく進路を変えた。
キュウリのこの必死の努力により
ようやく2週間ほど前から1本、また1本と収穫できるようになった。
採れたてのキュウリは、手に刺さるほどの棘を身にまとい、
食べられまいと抵抗する。
そこをエイヤッと板擦りにし
ビール片手に、味噌をつけて食べれば
半透明で柔らかく、お日様の味がした。
エアカーテンと言えるほどに葉は覆い茂っていないが、
節電が思わぬ楽しみを連れてきた。